コンクリート造りの建物の寿命はおよそ60年と言われています。建物は、雨・雪・風・紫外線・熱による影響を常に受け、暑さ・寒さから私たちを守りながら日々劣化していきます。
特に自然の影響を受けるのが、屋上の「防水層」です。私たちが定期的に健康診断を行うように、建物にも現状を把握する定期診断が不可欠です。早期に不具合を発見し素早く対処することは安全な生活空間の維持につながります。建物の漏水等の対応によっては、その寿命は短くなったり、長くなったりします。その鍵を握るのが「防水改修工事」なのです。
防水改修工事とは、防水工事によって設けられた防水層をリニューアルする工事のことです。
建物と同じように、防水層にも寿命(耐用年数)があり、その寿命が尽きる前に防水改修工事を行う必要があります。新築で行う防水工事と違い、その時の防水層の状態や、工法などをきちんと調査・診断し、最適な材料や工法を選定することで新たな防水層もその真価が発揮できるのです。ここで①今の防水層の処理、②材料、③工法の選定を誤ってしまうと、防水層が真価を発揮できず短期間で漏水が発生したりするなど思わぬトラブルが発生してしまいます。
安全に見えて水を通さないと思われがちなコンクリートの建物でも気温の変化に晒されて膨張・収縮を繰り返し、ヒビ(クラッチ)が発生してしまいます。
このヒビに雨水が流れ込むことが建物にダメージを蓄積したり雨漏りとなって快適な生活を一変させるのです。
天井や壁が、染みができたり、カビが生えたりしていませんか?
このような現象は建物にとっての危険信号です。「雨漏り」が原因になっていないか調べてみる必要があります。ベランダや庇(ひさし)といった場所での漏水であっても放置するのは大変危険です。雨漏りになる前に早急な対策をとりましょう。
改修工事が資産価値にも影響することをご存知ですか?
建物が長い年月をかけて劣化していくことは避けられないことです。
しかし、できれば資産価値が下がるのを最小限に抑えたい、そう誰もが思っています。
改修工事は資産価値を守るひとつの手段でもあるのです。
漏水による建物の劣化は大きく資産価値を下げてしまうことになりますので、早めの対処が重要です。
「なぜ傷む前に工事を行う必要があるのだろう?」
それは、トラブルが起きる前に改修工事を行う方が、資産価値を守ることができるからです。資産価値が不必要に下がる可能性があるのは、劣化した建物を放置して、故障や事故などのトラブルが起きてしまったその時です。
改修工事を怠ると劣化し続けた建物が、悲鳴を上げて傷口を見せ始めます。一旦できてしまった傷を、回復させて元通りにすることは難しく、他の箇所まで傷む危険性もあるのです。しっかりとした管理が大切な資産を守ることにつながるのです。
前述で、傷む前の改修工事の重要性についてお伝えしましたが、そこで新たな疑問が生まれます。
「傷む前って言っても、それがいつなのかわからない」
当組合では10年をメドに計画的な防水改修の計画をお奨めしております。
計画的な防水改修でのメリットはたくさんあります。
まずは、総体的に見た時の改修工事費用を抑えることができます。
雨漏が発生してしまった場合による大規模な工事よりも、事前の改修工事の方がはるかに費用が抑えられるからです。
他にも、トラブルが起きた場合にかかる時間、管理者側の労力や建物の使用者への影響を考えると、傷む前の改修工事は必要不可欠であると言えます。分譲マンション等の場合で修繕積立費用を算定する時も、先々の計画を立てることで、改修工事の実施予定時期と必要な工事見込額を勘案することもできます。